トピ

#825[南万葉] 
黒崎海様お忙しい中迅速な批評コメントをいただき、ありがとうございます。自分で読み返しているだけでは気づかない点をたくさん指摘していただけて、非常に勉強になります。こちらの意見は、全て批評が終わりましたらまとめてコメントいたします。丁寧に指摘していただいて本当にありがとうございます。続きも楽しみにしております。

2014-07-09 22:23

#826[黒崎海] 
南万葉様

ご連絡ありがとうございます。
まだ序盤の批評のみですが、近々第二段を上げさせて頂きます。
批評が修了しましたら、またご連絡致しますので、暫しお待ちください。

2014-07-09 22:37

#827[黒崎海] 
南万葉様

こんにちは、批評の続きが出来上がりましたので書き込み致します。
先日は１章のみでしたので、今回は２章から批評しました。

情景、人物描写が少ないのは先に話した通りですので、今回は割愛致します。
２章からは松陰が処刑され、事が大きく動く場面ですが、その中でも時間軸や夕霧や他のキャラの動向に多々違和感を感じました。

まとめて言ってしまえば、キャラの言動がいかにも行き当たりばったりであり、主人公である夕霧が周囲に流されて動いている、軽薄な人物に見えてしまうのです。
以下、それらの理由を書き込みます。

行き当たりばったりな展開だな、と強く思うのは、赤川と会った翌日に松陰が間部を殺害する、と塾生達に伝えた場面です。
　松陰が間部の事を赤川から聞いたのは塾生たちに彼を殺害すると告げる前の日でした。
人を殺す、しかも老中と言う重い立場の者を殺すとの決断をたった一晩で出来るでしょうか？
これが前々から決めていた事ならば別です。
しかし文中にそのような事は掛かれていません。
また、老中殺害という大事をいきなり塾生たちに告げています、反対する者がいると最初に考えなかったのでしょうか？

もし、反対派がこの日のうちに藩に密告すれば、きっと松陰はあっという間に牢に入れられ、賛成派にもそれなりのペナルティーがあるでしょう。

そのリスクも考えず、挙句に『賛成する者は今すぐ血判を押せ』と迫ります。
この辺り、塾生の事は何も考えていないように思えました。
突然老中殺害を宣言し、ろくに段取りも計画も立てずに共犯になれと教え子たちに迫る、猪突猛進で周りが見えない困った人のようです。

「今はその時ではない」狂介の台詞が最もだと感じてしまいました。

それに、ここで賛成、反対の塾生に分かれます、しかし、息巻いているのは松陰と他の塾生数人だけ、周りにいる塾生は空気のようです。
この塾に集まる人々はそれぞれ主義主張や志を持って集まったのですよね？
それがこの一大事に誰も何も言おうとせず、黙って退室してしまうのはどうしてでしょう？

反対派が賛成派を止める、喧々囂々の話し合い、互いの主張を通すための怒鳴り合い等々何か動きは無かったのでしょうか？

そして何よりおかしいと感じたのが、Ｐ40の「せいぜい自分は遠島くらい……」の部分です。
ここを呼んだ瞬間、塾生を何人も巻き込んでおきながら、『命までは取られないだろう』のような軽い考えで行動していたのか、と思ってしまいました。前述しました部分と合わせて、松陰と言う人物が行き当たりばったりの行動しかできない上に他者を混乱に巻き込む浅はかな人物に見えてしまいます。

ページは飛んでＰ74です。
夕霧が江戸へ到着したシーンですが、文章を見る限り彼女は一人で江戸に来たようですが、この時代、年頃の女性が一人旅などできません。　
この時代、車も電車も勿論飛行機もありません。
旅は歩きです。必然駅にそれだけ危険が付きまとい、命を落とすことも珍しくありません。女性は親兄弟など集団で旅をしますし、女一人で関所を通れるのは芸（三味線や踊りなど）で食べていく女性などです。

そして関所を通るには通行手形が必要です（関所が廃止されたのは明治の始め頃だったと思うので、この時代にはまだあったはずです。）。

夕霧が一人で用意できるものではありませんし、必ず親の承諾がいります。

勿論、危ないですから親は止めますよね。
平気な顔をして送り出すはずがありませんし、塾の仲間たちも誰一人として反対して反対、または同行を申し出なかったのも不自然です。

何より、「外人を斬るから」などという理由で女性を江戸まで、しかも冬に呼びつける普作、何を考えているのか、と思いました。

　また、江戸で長州藩を探す夕霧にたまたま声を掛けたのが、同郷のしかも顔なじみ、都合が良すぎます。

全体を読んで感じた事は主人公である夕霧が一体何をしたいのだろう、と言う事でした。
　一言で表せば、主人公であるのに自らアクションを起こすことがほとんどなく、周りの動きに流されてしまっています。
困った時やピンチの時は必ず周りの誰かが助けてくれますし、みな彼女にはそれなり優しく接しますよね。
『同志』というよりマスコットか、酷い言い方をすればペットのような扱いです。

この小説は幕末に実際にあった出来事、実在した人物を元に書かれています。
確かに何年に何があった、誰が何をした、それはわかりやすく書かれていますが、その出来事の中に夕霧をうまく溶け込ませ、実在していたキャラ（松陰や高杉たちの事です）と深い関わりを持たせて行かないと、きつい言い方ですが夕霧は必要ないキャラとなってしまいます。

実際、彼女がいなくても話は進むような気がしましたし、既に起こってしまっている歴史の出来事ですから、それに沿って執筆すれば男キャラのうちの誰か一人の視点になれば問題なく話は進むでしょう。

無理矢理『女性』というここでは異端の存在を出すまでもないかと思ってしまいました。

夕霧が何をしたいのか=南さまがこの小説で読者に何を伝えたいのか、どんな作品に仕上げたいのか、です。
読ませて頂いて、さいごまでそれがよくわかりませんでした。

最後になりますが、私のように幕末の知識が殆どない者、そして単純に歴なんか関係なく、主人公と男キャラ達の恋愛メイン（逆ハーと言われるものでしょうか）で読みたい方には面白いと感じる作品です。
が、それなり幕末の歴史や人物に詳しい方が読めば、不可解に感じる箇所や物足りなさを感じる作品だと思います。

最後はかなりまとめて書いてしまいました、もし各章ごとの詳細な批評がいる、と言う場合は、またお気軽にお声掛けください。
このたびは、読ませて頂きありがとうございました。

2014-07-10 23:38

#828[榛奈　伶奈] 
黒崎さん、ご依頼受けておりました『桜花の待ち人』の批評、お持ちいたしました。

全体的な流れはきちんとまとまっていますし、話として破綻しているような部分はないと思います。
というより、きちんとした時代背景に基づいた良質な時代小説だと思いました。
この作品のメインタイトルである『傀儡奇伝』という言葉を見事に体現したという雰囲気もあると思います。
『傀儡』は人形、もしくは人形師のことでしょうし、『奇伝』というのは不可思議な部分のある話という意味合いもありますしね。
メインの題材になっているのは『壊れた人形の修理』ということから少々、怨念じみた部分も見え隠れしないではないですが、そういう部分だけではなく『怖くて』『妖しくて』『哀しくて』『綺麗で』『優しい』そんなさまざまな色合いをもつ『不思議な』話だというのが一番の感想になると思います。

一章ごとに完結した短編で構成された長編という意味合いのある作品でしょうか。
そういう意味では少し読者に対して不親切な部分もあるように感じました。
主要キャラの関係。どういう職業であるのか、どういう生活をしているのか。それらはきちんと文面に表現されていますし不足部分はないように思います。
しかし、それ以外の登場人物でもう少し説明がほしいと思ったキャラがあったことも事実です。

今回の話の発端となった大工の棟梁、なじみの岡っ引き。海華夫婦の仕える相手である桐野。彼らのことはきちんとどういう立場の相手であるのか表現されているので不満はありません。
ただ、この話の中である意味のキーマンというべきキャラの『お石さん』がそういう人であるのかがみえてきません。
話の流れから俗に言われる『祈祷師』もしくは『霊媒師』のような職業だとは思いますが、それがはっきりとみえてきません。
この作品のほかの話で描かれているのかもしれませんが、それでも簡単でいいので説明がほしいと思ってしまいました。
なにしろ、朱王が人形を求める幽霊に憑り殺されなかった件での一番の立役者だと思います。
だとしたら、この作品の中でもどういう位置づけなのかということが知りたいと思ってしまいました。

背景描写については、もう少しあってもいいかと思いましたが、この作品が短編であることを考えるとこれ以上の表現は逆に重苦しくなり作品を殺すことになると思います。
最低限の背景描写はなされていると思います。
志狼が幽霊と対峙した時の恐怖など読んでいてゾクリとするものを感じることもできました。
また、穏やかな光景は作品の読後感を安心させるものにつながっていると思います。

気になさっているキャラに引き込まれるか、という部分ですが十分にクリアしていると思います。
主要人物である三人がそれぞれに性格面も行動面もきちんと成り立っていておかしいと思う部分はありませんし、それぞれが魅力的な部分があると思います。
妹である海華を心配しつつも人形師としての矜持が高い朱王の様子。
兄の前であっても平気でのろけるような海華の明るい性格。
そして、志狼の寡黙ではあるけれども、妻と義兄を思う強い気持ち。
それらはきちんと表現されていると思いました。
この話がただの怪談話に終わっていないのはこれら主要キャラがきちんと立っているためだと思います。

最初にも申し上げましたが、構成もしっかりした作品であり、読み応えのあるものだと思います。
銭形平次や人形佐七のような捕物帖とでもいうような雰囲気もありますし、しっとりとした人情物という側面もあると思います。
背景描写はぎりぎりまでそぎ落としていると思いますが、先ほども申し上げたように短編であればこれ以上の背景描写は逆に邪魔になると思います。
一気に読むことができるほど話の中に入ることもできました。
批評というよりは感想じみた内容になりましたが、ご容赦ください。
今回は読ませていただいてありがとうございました。何かご質問などありましたら遠慮なくお訊ね下さいませ。

2014-07-12 01:38

#830[黒崎海] 
榛奈伶奈様

　こんにちは、先程は簡単な連絡のみで失礼いたしました。
改めて、批評を受けて下さったこと、心より感謝いたします、ありがとうございました。
前作からの続き物、という事で掻き始めた先品で今回初めて批評して頂きましたが、やはり自分で気付いていない部分で読み難さや説明の足りていない部分もあるんだな、と再認識しました。

特に「お石さん」に関してですが、前作では何回か出ているキャラのため、無意識に「もう大丈夫だろう」と思い説明を省いてしまったようです。

ちなみに彼女は霊媒師や祈祷師ではなく、『朱王が住む長屋の大家さんの妻で、とある民間宗教の熱心な信者であり、事あるごとに朱王達に入信を勧めてくる』との設定です。

前作では、海華が怨霊に憑りつかれた話があるのですが、その時に教祖を引き連れて朱王の部屋に押し掛けた、なんてエピソードもありましたが、この作品しか見ていない方ならわからないのは当然ですね。

　また、背景描写も幽霊が出てくる物語の時はあえて少なめにしていました。
背景を細かく入れると榛奈様が仰る通り、話が重くなってバランスがとりにくくなり、なにより肝心の幽霊が背景に埋もれてボンヤリした印象になってしまったので、一度修正し背景描写を削りました。

背景に負けない迫力の幽霊を書けばいいだけの話ですが、悲しい事に私にはそこまでの文才も文章力もないもので……。

キャラに関しては、書き分けが出来ている、と仰っていただき安心しました。登場人物が多くなるほど、きちんとした書き分けが難しくなりますので、個人的には一番不安に思っていた部分でした。

続き物、そして主要キャラが増えたという事で、話がマンネリに、また世界観がややこしくなってはいないかと不安に思いながら執筆していた部分もあったので、今回、このままのスタンスで執筆しても大丈夫かな、と改めて感じることが出来ました。
的確な批評、そしてご丁寧な感想も頂き、本当に嬉しく思います。ありがとうございました。

またお願いする事があるかとおもいますが、その時はまたよろしくお願いいたします。

お返事が遅れてしまい、失礼致しました。

2014-07-12 18:07

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