■レビュー通報

私が一番好きなのは「し」です。一画というシンプルな構成でありながら、ただの縦線ではなく中盤優しい弧を描き、最後の払いで自由を象徴する。「し」とは強い柱と温もりと破天荒さを兼ね備えた情緒深い字なのです。そして始や史や死という漢字があるように始まりも過程も終わりもすべて「し」。紡ぐことばも詞です。そんなわけで私が一番好きなのは「し」だった。なのにどうしてでしょう。このエッセイに出会って、来世は「む」に生まれたいとそう思うようになっていました。

※このレビューを違反として通報できます。
▽通報理由(必須)


戻る